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有機野菜の市場規模は拡大中?日本・世界の需要、生産者数、有機JAS基準を解説

皆さん、こんにちは。有機生活研究所の佐藤です。ご覧いただきありがとうございます。

日本の有機野菜市場は、実際どのくらいの規模なの?

まず押さえておきたいのは、農林水産省が公表している最新の市場規模が「有機野菜だけ」の数字ではなく、加工食品なども含む「有機食品市場」全体の金額だという点です。

農林水産省が2026年に公表した資料によると、日本の有機食品市場は2017年の1,850億円から2025年には3,595億円へと拡大しています。金額ベースでは約1.9倍の伸びです。食料の消費者物価指数で補正した実質ベースでは、2,766億円とされています。

世界に目を向けると規模はさらに大きく、FiBLとIFOAMによる最新データでは、2024年の世界の有機食品・飲料の小売市場は1,450億ユーロでした。前年より69億ユーロ増加し、過去最高を更新しています。

一方、日本で有機農業に取り組む面積は2024年時点で約3万9,800ha、有機農業者は約1万2,700人です。市場は拡大しているものの、生産側にはまだ大きな伸びしろが残っています。

この記事では、市場の数字だけでなく、

  • 日本と世界で有機市場はどこまで大きくなっているのか
  • 日本ではどのくらいの農家が有機農業を行っているのか
  • 有機野菜を作るためにはどんな基準を満たす必要があるのか

まで、農林水産省などの最新資料をもとに見ていきます。

目次

日本の有機野菜市場規模はどのくらい?

前述のとおり、「有機野菜だけ」の全国市場規模について、農林水産省が毎年公表する統一的な最新の金額データは確認できません。

そのため、日本の市場規模を見る場合は「有機食品市場」を基準にするのが分かりやすいでしょう。

農林水産省が示した推計は次のとおりです。

国内有機食品市場の推計額
2017年1,850億円
2022年2,240億円
2025年3,595億円
2025年:物価補正後2,766億円

2017年から2025年までの8年間で、市場規模は名目ベースで約1.9倍になりました。

有機野菜だけでなく、有機米、茶、加工食品、飲料なども含む数字ですが、日本国内で「オーガニック食品に使われるお金」が拡大していることは間違いありません。

実際に一般の家庭でも、ビオ・マルシェのような有機野菜専門の宅配サービスを頼んでいるケースも珍しくありません。実際に有機生活研究所では過去に、ビオ・マルシェ利用者に独自アンケートを実施して「日本人の有機野菜に対するイメージが変わってきた」と感じました。該当の記事はこちらで読めます。

市場が約2倍でも、利用者が2倍になったわけではない

ここは少し注意したいところです。

3,595億円という数字だけを見ると、「日本でもオーガニック食品を買う人が急増している」と思うかもしれません。

しかし、農林水産省の2026年7月時点の資料では、有機食品を週1回以上利用する消費者の割合は次のように推移しています。

有機食品を週1回以上利用する消費者の割合
2017年17.5%
2022年32.6%
2025年17.4%

2022年には新型コロナウイルス感染症の影響などで利用が増えたと考えられる一方、その後は物価上昇などの影響もあり割合が低下したと、農林水産省は分析しています。

つまり、「市場金額が増えた=日常的に有機食品を買う人が同じ割合で増えた」とは限らないということです。

実際、食料価格の上昇を補正すると、2025年の市場規模は2,766億円です。それでも2017年の1,850億円より大きく、市場が長期的に拡大していることは確認できます。

世界のオーガニック市場は1,450億ユーロ

世界規模で見ると、オーガニック食品市場は日本よりはるかに大きくなっています。

FiBLとIFOAMが2026年2月に公表した最新統計では、2024年の世界の有機食品・飲料の小売売上は1,450億ユーロでした。

2023年から69億ユーロ増え、過去最高を更新しています。

主な市場は次のとおりです。

2024年の有機食品・飲料市場
アメリカ604億ユーロ
ドイツ170億ユーロ
中国155億ユーロ

世界最大の市場はアメリカで、ドイツ、中国が続きます。

また、世界では180か国以上で有機農業に取り組んでおり、有機農地は約9,900万haに達しています。

ヨーロッパだけでも、2024年のオーガニック小売市場は587億ユーロです。

こうした数字を見ると、有機・オーガニック食品は一部の国だけが扱う小さな市場ではなく、すでに世界規模の食品市場になっていることが分かります。

日本の有機食品市場は拡大しているが、国産供給には課題もある

日本市場を見るうえで興味深いのが「国産シェア」です。

農林水産省の2026年7月時点の資料では、国内有機食品市場に占める国産品の推計シェアは、2017年の約60%から2024年には約53%へ低下しています。

国内有機食品市場に占める国産品の推計シェア
2017年約60%
2024年約53%

国産有機農産物の生産量そのものは増加傾向にあるものの、それ以上のペースで国内市場が拡大している可能性があると農林水産省は分析しています。

つまり、日本ではオーガニック食品への需要が増える一方、「それを国内の有機農家だけでどこまで供給できるか」も課題になっているわけです。

これは有機野菜の生産者を増やす必要性にもつながっています。

日本には有機農業の生産者が何人いる?

農林水産省が2026年7月に示した基本方針案では、日本の有機農業者数を次のように整理しています。

有機農業者数
2009年約1万1,800人
2024年約1万2,700人

15年間で増えてはいますが、増加幅は約900人にとどまります。

一方、有機農業の取組面積は、

有機農業の取組面積
2017年約2万3,500ha
2024年約3万9,800ha

まで拡大しています。2024年時点では、日本の耕地面積全体に占める割合は約0.9%です。

つまり、生産者数が大きく増えているというより、一人当たりの有機農業の経営面積が広がっている可能性があります。農林水産省も、平均取組面積の増加から経営規模が拡大していると推測しています。

なお、約1万2,700人という数字は野菜農家だけを指すものではありません。米、麦、大豆、野菜、茶などを含む「有機農業に取り組む農業者」の合計です。

有機野菜では根菜類や葉物野菜を中心に生産

では、有機農業の中で野菜はどのような位置づけなのでしょうか。

農林水産省は2026年7月の資料で、有機野菜について、根菜類や葉菜類などを中心に栽培しているとしています。

また、有機JAS認証を受けて出荷する野菜の格付数量は増加傾向にあります。

一方、有機野菜の生産には、

  • 病害虫への対応
  • 雑草対策
  • 安定した収量の確保
  • 有機栽培に適した品種や技術
  • 流通・販売先の確保

といった課題があります。

農薬や肥料だけを変えれば簡単に有機野菜へ転換できるわけではありません。

そのため、農林水産省も技術開発や産地づくり、生産者同士の連携などを進めています。地域ぐるみで有機農業の生産から消費まで取り組む「オーガニックビレッジ」は、2025年度には154市区町村まで拡大しました。

有機野菜の生産者はどこで調べられる?

「実際にどんな農家が有機野菜を作っているの?」と気になる場合は、農林水産省が公開する有機JAS認証事業者一覧が参考になります。

農林水産省は、2026年7月1日現在の有機農産物の認証事業者一覧を公開しています。

ここでは、有機農産物の「生産行程管理者」などを確認できます。

ただし、有機JASの認証事業者は必ずしも「農家1人=1事業者」ではありません。農業法人や生産者グループなどが一つの認証単位になっている場合もあるため、「認証事業者数=有機野菜農家の人数」とは考えないほうがよいでしょう。

また、農林水産省の公開一覧は掲載に同意した事業者が対象です。最新情報や一覧に掲載していない事業者については、それぞれの登録認証機関が情報を持っています。

農林水産省が定める「有機野菜」の基準とは?

有機野菜について調べると、「農薬を使っていない野菜」と説明するケースがありますが、これは正確ではありません。

日本で「有機」「オーガニック」と表示して販売する農産物には、有機JASという基準があります。

農林水産省は、有機農産物について主に次の条件を示しています。

① 使用禁止資材が外から入らないよう対策する

周囲の農地などから、有機JASで使用を認めていない資材が飛来・流入しないよう、必要な対策を取ります。

② 原則として2年以上、化学肥料や化学合成農薬を使用しない

種まきや植え付け前の一定期間、有機JASで禁止する化学肥料や化学合成農薬を使用していない農地で栽培します。

農林水産省が一般向けに示す基準では、播種または植え付け前2年以上としています。

③ 組換えDNA技術を利用しない

有機JASでは、組換えDNA技術を利用しません。

④ 放射線照射を行わない

放射線照射を行わないことも、有機農産物の基準に含まれます。

「有機JAS=完全無農薬」ではない

ここは特に重要です。

有機農業では化学肥料や化学合成農薬を使わないことを基本としますが、病害虫を防ぐためにやむを得ない場合など、有機JASで認める資材を使用できるケースがあります。

したがって、「有機野菜=農薬を一切使用していない野菜」と説明するのは適切ではありません。

有機JASは「完全無農薬マーク」ではなく、農林水産省が定める一定の生産方法に適合したことを示す認証と考えると分かりやすいでしょう。

有機野菜を名乗るには第三者による認証が必要

農家自身が「化学農薬を使っていないから、今日から有機野菜として販売しよう」と自由に表示できるわけではありません。

有機JAS認証を取得するには、農林水産省へ登録した「登録認証機関」に申請し、審査を受ける必要があります。

有機JASの基準に適合した生産を行っていることを登録認証機関が検査し、認証を受けた事業者が有機JASマークを使用できます。

有機JASマークがない農産物に「有機」「オーガニック」などと表示して販売することはできません。

つまり、有機JASには、次のような仕組みがあります。

STEP
生産者が基準に沿って栽培する

STEP
第三者機関が確認する

STEP
認証を受ける

STEP
有機JASマークを付けて販売する

日本は今後さらに有機農業を増やそうとしている

日本の有機食品市場は拡大していますが、生産面を見ると、有機農業の取組面積は2024年時点で耕地面積全体の約0.9%にとどまります。

農林水産省が2026年7月に示した有機農業の基本方針案では、2030年に有機農業の取組面積6万3,000ha、有機農業者数3万6,000人を目指す方向を示しています。

さらに「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに有機農業の取組面積を耕地面積の25%、100万haまで拡大する長期目標を掲げています。

有機農業の取組面積有機農業者数
2024年約3万9,800ha約1万2,700人
2030年6万3,000ha3万6,000人
2050年100万ha:耕地面積の25%

2024年の約3万9,800haから100万haですから、かなり大きな目標といえます。

今後は単に有機野菜を買う人を増やすだけでなく、

「有機野菜を安定して作れる農家をどう増やすか」

「農家が有機農業を続けても経営が成り立つ仕組みをどう作るか」

「生産した有機野菜をスーパー、宅配、学校給食などへどう流通させるか」

といった課題も重要になってきます。

有機野菜市場はこれからも拡大する?

将来の市場規模を正確に予測することは難しいものです。

ただ、現在のデータを見ると、有機食品市場そのものには拡大傾向があります。

日本では、2017年の1,850億円から2025年には3,595億円へ市場が拡大しました。世界でも2024年の小売売上が1,450億ユーロと過去最高を記録しています。

一方で、日本では週1回以上有機食品を利用する消費者の割合が2025年に17.4%まで低下しており、価格の高さなどが普及の壁になっている可能性があります。

さらに、日本の有機食品市場に占める国産シェアは、2024年時点で約53%です。

今後の市場拡大には「有機食品への関心を高める」ことだけでなく、「購入しやすい価格にする」「国産の生産量を増やす」「流通コストを下げる」「有機農家を増やす」といった生産・流通側の整備も必要になりそうです。

まとめ:有機野菜は世界的に大きな市場へ、日本でも生産拡大が課題

有機野菜の市場規模について調べる場合は、「有機野菜だけ」の金額と「有機食品市場全体」を混同しないことが大切です。

農林水産省が公表する日本の最新推計では、有機食品市場は2017年の1,850億円から2025年には3,595億円へ拡大しました。物価上昇を補正しても2,766億円です。

世界では2024年の有機食品・飲料市場が1,450億ユーロに達し、過去最高を更新しています。

一方、日本の生産側を見ると、2024年時点で有機農業の取組面積は約3万9,800ha、有機農業者は約1万2,700人です。

そして、有機野菜として販売するには、農林水産省が定める有機JASの基準に沿って生産し、登録認証機関の認証を受ける必要があります。

市場は大きくなっていますが、日本の農地全体に占める有機農業の割合はまだ約0.9%です。

「有機野菜を食べたい」という消費者側の需要と、「有機野菜を継続して作れる」という生産者側の環境をどう一緒に広げていくか。

これからの日本の有機野菜市場を考えるうえでは、市場規模だけでなく、生産者や農地、認証制度までセットで見ることが重要です。

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